⑧アイデンティティ=立場・自己拡大

人間は立場を獲得してアイデンティティを拡大する性質があります。


人間は組織に入ると、その組織の社長やリーダーのポジションと自分をひとつに重ねたり、
または歴史上の英雄を真似したりしながら、影響力を与える事ができるポジション、
立場に自分のアイデンティティを移動しようとします。


例えば、もし自分が努力して坂本竜馬のように影響力のあるポジションになれば、
日本の全国民に英雄として自分の存在感を知らしめる事ができ、
愛される存在になると思ったとします。


すると無意識にその英雄のポジション、立場を真似しようとするのです。


また組織のリーダーと自分を同一化することで、
リーダーと自分との一体感を持ち、影響力を発揮できるように、
自分のアイデンティティの質を高めていこうとする事も同じです。

⑦アイデンティティ=所属

人間は家族共同体、地域共同体、組織、グループなどを作ったり、
それらに所属したりします。


そして所属する事を通して、自分のアイデンティティを作り、
さらにそれをもっと大きく広げていこうとするのです。


もし何らかの組織やグループに所属しなければ、
他人からも自分からも疎外されてしまったり、
自分の存在感や影響力、存在意味、存在価値を低く見られたりしてしまいます。


そうならないために、
人間は共同体、組織に帰属し、それを自分の体の延長線上のように感じながら、
アイデンティティを広げていくのです。


例えばそれが国レベルまで広がれば、国を自分のように感じ、
「私はこの国のために人生を掛けるぞ」と言う心境になり、
家庭レベルであれば、「俺がこの家庭を守る」と家庭を自分自身のように思うのです。


このように人間は、家庭、組織、グループ、共同体に所属する事で、
自分のアイデンティティをより具体化、安定化しながら、
自分のアイデンティティの範囲を大きく広げ、連続性を強めていくのです。

⑥アイデンティティ=対決意識・被害者意識

もしライバルや戦う相手がいれば、「あいつをどんな風にやっつけよう」
「あんなやつに俺は絶対負けるはずが無い」どと、自分の存在感をより強く感じるようになります。

そして相手に負けたくないと必死に勉強したり努力したります。

このように自分自身の存在感を強く感じやすいのが、
対決意識や被害者意識がある時なのです。

ですから、ある意味ライバルや敵は、自分の存在感をより明確にさせる素晴らしい道具と言えます。


男性は基本的に戦いが好きで、
常に自分の周囲で戦う相手を見つけては、
対決意識を膨らませていく傾向があります。

一方女性は、被害者意識を持つ傾向が強いと言えます。
つまり「あの人にこんなひどいことをされた私」と言うように、
相手を見立てては、被害者意識を道具にし、
自分と言う存在をより強く感じるアイデンティティを創造していくのです。

⑤アイデンティティ=一貫性・反復性・連続性

アイデンティティとは、
「常に自分がどんな思いを選択し、蓄積しているか」
「自分がどんな一貫性を反復しているか」の結果であると言えます。


例えば、今は自分を男だと思っているのに、一時間後には女だと思い、
二時間後にはまた男だと思う、というような一貫性が無い思いでは、
アイデンティティにはなりません。


つまり、アイデンティティは一貫性を持っています。


また毎日同じ父親、母親、兄弟と寝食を共にするから、
「家族」というアイデンティティが生まれます。

さらに、「自分一人だけで家族」になるのではなく、
家族を構成するメンバーを一つの単位として、「○○家の家族」という
アイデンティティーが生まれます。


違う例で言うと、自分の大切にしている服も自分自身のように感じるため、
もし誰かが無造作にあなたの服をどこかに投げたりすると、
「何してるの!」と怒る事でしょう。
これは自分の体の範囲を超えた服をも、「自分自身」と思うためです。


このようにアイデンティティは、自分の体の範囲を超えた延長線上、
つまり連続性という特徴も持ち合わせているのです。

④アイデンティティ=絶対支配権力

人間は、アイデンティティである「自分自身をどう思うか」を
根本の判断基準として、物事を考えたり、人と話したり、
あらゆる選択と放棄を行っています。


つまり、アイデンティティとは、あなたの絶対支配権力であり、
問題を作るのも解決するのもアイデンティティと言えます。


例えば宝くじで1億円が当たったとします。
あなたはこのお金をどうするでしょうか?


会社の経営が苦しい社長であれば、会社の運転資金に回すでしょうし、
親が難病に掛かっていれば、その治療費に当てるでしょう。


そのような差し迫った問題が無ければ、海外旅行に行ったり、
マンションを買ったり、貯金をしたり、全額恵まれない国の子供たちに募金をするかもしれません。
またはこの時代の不況を突破する解決策を持った革新的な企業に投資するかもしれません。


宝くじが当たらなくたって同じです。
常日頃、自分のお金を何に使っているのか、自分の時間を何に使っているのか、
何を選択して何を放棄しているのか、あらゆる選択と放棄はあなた次第です。


「自分自身をどう思うか」「自分はこういう存在だ」と無意識深くで決めたアイデンティティから、
全ての考え、感情、言葉、行動の選択と放棄をしているのです。

③アイデンティティ=記憶・脳

脳の記憶はアイデンティティに大きく影響しています。


例えば何らかの事情で脳に障害が起きてしまい、
記憶喪失となってしまった場合、
自分のした行動さえ忘れてしまう状態だとしたら、
いったい自分自身をどのように思うでしょうか?


アイデンティティは、脳の記憶が消えてしまえば、
自分の事も家族の事もわからなくなってしまうばかりか、
人間としての判断基準も消えてしまうため、行動もめちゃくちゃになります。


人間のアイデンティティは、脳の記憶に依存し、人間の考え、感情、行動、
言葉、行動、人間関係に大きな影響を与えているのです。


これは人間は記憶によって常に過去のイメージにとらわれて、
なかなか未来へ進む事ができないと言う事を意味しています。

②アイデンティティ=自己同一性

アイデンティティとは「自分自身をどう思うか」「自分自身をどう認識するか」です。

一般的には、「自己同一性」と約されます。
人間は「これが自分だ」と思えるものを自己と同一化し、
自我意識を作り上げます。


例えば映画を観る時、映画の登場人物の中で悪役を自分だと思いながら観る人は
ごく稀でしょう。
ほとんどの人が無意識に主人公を自分に重ね合わせながら観るのではないでしょうか?


この映画の主人公と自分を同一化する行為によって、緊張や楽しさ、感動が起こります。


この映画の主人公を自分と同一化する行為と同様に、
アイデンティティは「自分自身をどう思うか」「自分自身を誰だと思うか」
という自己同一性を持っています。


また意見の同一性もあり、相手と自分の意見が合致する時には、相手を自分だと自己同一化し、
意見が違う場合には、「私とあなたは別々」と無意識に分離して認識しているのです。